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《届出山行》剱岳チンネ左稜線・Ⅵ峰フェース登攀
 山行日
参加者
9月8日(金)~11日(月)
5名(9月8日入山3名 9月9日入山2名)
 コースタイム <9月8日> 室堂8:30――9:15雷鳥平――10:30剣御前小屋――11:30剣沢――12:50長次郎谷出会い――14:30雪渓が途切れた右岸上――16:00熊の岩テントサイト
<9月9日> テントサイト5:10――6:00池の谷乗越――6:30――7:10チンネ左稜線取り付き7:35――11:30核心部下――14:00終了点――クレオパトラニードル――15:20Ⅵ峰――15:50テントサイト
<9月10日> テントサイト7:30――Bフェース取り付き8:00――下降して正規の京大ルート取り付き9:30――11:00終了点――Cフェース剣稜会ルート取り付き11:50――15:30終了点――16:20テントサイト
<9月11日> 熊の岩テントサイト7:40――8:30垂のコル8:40――9:20剱岳頂上――12:40剣御前小屋――14:30室堂
  昨年の八つ峰とチンネ左稜線の時、今年はⅥ峰フェースを登ろうということになって、M井君がリーダーで取り組むことになった。ただ、O西さんがチンネを登っていないのでO西・花折・A岡の3人は1日多くとってチンネを登ろうと計画した。ところが、天気をずっとチェックしていると後の方が悪い。そこで3人は出発を一日早めて二人より一日先に入山することにする。
<9月9日(土)>
 室堂に8時に着く。すぐ準備をして出発するが、6人用テントやコッフェルも持っているので荷物が重い。久しぶりに花折で23~4kgくらいある。雷鳥沢の登りですでに顎が出かかる。
 剣御前小屋前から剣沢小屋に下り、さらに下って途中からは雪渓に出て、長次郎谷の出会いに。ここでアイゼンを付けて登り始める。荷物が肩に食い込んで遅々として進まない。中間部で雪が切れ、左側(右岸)を高巻く。これを越えて熊の岩まで。ヘロヘロになりながら到着する。熊の岩には先着の若者3人のテントが一張り合った。
   
<9月10日(日)>
 5時過ぎにテント場を出る。アイゼンで向かい側の枯場へ渡り、そのそばを登れるぎりぎりまでアイゼンで登る。そこからガレ場に入り、右側の岩場を登って池ノ谷乗越に着く。ここから池ノ谷ガリーを下り三の窓へ。雪渓を横切って取り付きまで移動する。
 O西さんがトップで取り付く。今回は、O西さんとA岡さんにドッペルでリードを任せ、私はサードで登ることにする。私のロープの相手側再度をエイトノットでループを作り、そこに安全環付きカラビナをセットして、トップに受け渡しをしてもらう。簡単な所は10m程間をあけて同時登攀とする。
 2ピッチ目はA岡がリード。ピンがほとんどないが順調に登り、40mほど一気に伸ばす。フェースからリッジに出ると高度感がすごい。気持ちよくロープが伸びる。
 3ピッチ目でO西がピナクルへ登りつく。ここから2ピッチでバンドに着く。ここで小休止する。さらにハイマツの右側のリッジを登り3ピッチで核心部の下に着く。途中変な所で切ったりしたので、この3ピッチで少し時間を食ってしまう。
 核心のハングは奥西がリードする。ピンにすべて支点をとっていくとたくさんありすぎて足らなくなるので、適当に間引いたり、下のを回収したりしながら登ってもらう。フリーで5・11後半をリードする位なので安心して見ていられるのはさすがだ。35mほどで確保点へ。
 続いてA岡さんが登る。核心部が、少し手が遠いがこれも問題なく超えていく。ここを越えた所で花折が登り始める。天気も良く気分は最高だ。見るからに圧倒的な核心部だが、3人とも快調にこなして、この後3ピッチで終了点へ到着する。O西さんにとっては初めての、また、A岡さんにとっては2回目のチンネ左稜線を十分に楽しむことができた。
 下山は、長次郎谷上部のアイゼンは必要ないのでこちらの方が安全だろうと、クレオパトラニードルの上側を通り、Ⅵ峰経由で帰ることにする。Ⅵ峰からの下りは少し注意が必要だが、こちら側の方が快適だった。熊の岩に着くとM井・M上両氏がすでに到着していて、M井が15本を持ってきたというビールで出迎えてくれた。また、夜は二人で運んでくれたお肉たっぷりの好き焼きに舌鼓を打った。
  

  

  

        
 <9月11日(月)>
M井・M上がCフェースを登るので先行する。我々もCに行くが、他の登山者が先着していたので、Bフェースに変更する。
 ついてすぐのところがどう見てもとりつきだ。これを花折が取り付いて一段のぼるが、トポとはどう見ても違う。最初の1ピッチ目は2級なっているのだが、登ってみるとどう見ても2級ではない。Ⅳ級以上ありそうだ。登って登れないことはないのだが、上にピンが見当たらず踏ん切りがつかない。2級なのだからこれは違っているということで懸垂点があったので懸垂して降りる。降りてみて見渡すと、右側を一段岩登りをした上に、どうやら取り付き点がありそうだ。そこへ回ると、やはりそこが取り付き点だった。
 花折がトップで取り付くが、岩が脆い。あまり登られていないようだ。岩を手で押さえながらソロっとロープを延ばす。A岡さんが続く。登ってきて、「予想以上に怖かった」と第一声。O西さんがサードで登ってきたが、途中で「アッー」と声を挙げる。引っ張った岩が抜けて落下してしまう。ロープが引っ張られたが、問題なく泊まる。O西さんが上がってきて、「リードやったら終わっていた」と、ここで意欲がなえてしまう。
 このBフェースは、花折が全部トップで登る。この後、フェースからリッジに登り、後はリッジを辿ってに頂上へ。ただ、最後のギャップを越えると薄いエッジになっていて、跨いで越えた。両側が切れていて怖いことこの上ない。私は怖さでそれができなかったが、後から来たA岡さんはそのリッジに手をかけて横のスタンスを使っている。これが正解だ。次のピッチで頂上へ着く。
 昼食休憩をして下山し、次にCフェースの剣稜会ルートに取付く。この日はBフェースの落下でO西さんの気力がなえているので、A岡さんと花折がドッペルでリードする。A岡さんが1ピッチ目をリード。Ⅱ級30m。2ピッチ目は花折がリード、Ⅱ級で40m。順調にロープが伸びる。3ピッチ目は3級でフェースをA岡がリードする。終了点で、Aフェースを登る二人からコールがかかり、お互いに写真を撮り合う。その後、リッジ2級を花折が目いっぱい伸ばして終了点に着く。
 M井・M上の二人は、熊の岩に戻るとすでに帰っていた。二人が終了したときにはまだ時間があったように思ったが、二本で十分満足したようだ。
   

  



   <9月11日(月)>
熊の岩7:40――9:25剱岳頂上――12:45剣御前――14:30室堂==15:30立山駅
 最終日は帰るだけだ。雪渓を下るのは、途中切れているところもあり大変そうなので、花折の提案で、源次郎尾根の懸垂のコルへ登り、そこから剱岳の本峰を通って剣御前へ帰ろうということになった。この懸垂のコルまでは、30年ほど前にここに岩登りに来ていた時に花折が本峰側壁に行ったり下ったりしたことがあった。
 雪渓を、イゼンを付けて渡り、懸垂のコルへのルンゼを登る。ガレ場歩きに慣れていないものが、大きな石を落としたりしたが、丁寧に歩くように指示し、だんだん慣れてきて問題なく懸垂のコルへ着いた。ここから頂上まではかなり距離があるように感じて一度休憩するが、そのあとすぐに頂上に出た。あまりにも簡単に出たのでみんな大喜びだった。
 ここから前剱、一服剱とどんどん下り、剱山荘手前から尾根を辿って、剣御前へと登り返した。室堂へは2時半着。
   

 
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