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《 例会》八ヶ岳集中登山 南八ヶ岳縦走コース
 山行日
参加者
8月25日(金)~27日(日)
A班 6名  B班 5名
 【8月25日(金)】 曇り時々小雨
〈コースタイム〉
 A班:美濃戸口発13:11→赤岳山荘14:03→15:02堰堤15:10
→赤岳鉱泉着16:19
 B班:美濃戸口発13:10→赤岳山荘14:02→15:00堰堤
    →赤岳鉱泉着16:30

 京都駅バスプールに6時20分集合。6時30分に駐車場に入ってきた弥栄観光バスに10分以内の駐車時間にて全員乗り込む。往路は北八蓼科山組と大同心登攀組も一緒である。バスは一路、中央高速経由で八ヶ岳の裾野を目指した。
 諏訪ICを降りてビーナスラインを徐々に高度を上げていく。女神茶屋までに雨粒がバスのフロントガラスをたたき出した。またしても雨に山行を邪魔されるのだろうか。女神茶屋の蓼科山登山口にて中居さんを下ろしてバスは元来た道を引き返し、美濃戸口へと向かう。そのころには雨も上がり、何とか小屋まで天気がもってくれるように祈る。念のため合羽のズボンを履いて準備する。
 登山道入り口の堰堤までは2時間ほどの林道歩きだ。途中、気晴らしにショートカットコースを行くもそれほどの時間短縮にはならなかった。堰堤を対岸へ渡って登山道へと登っていく。雨にもさほど降られずにおおよそ1時間半、今夜の宿泊地赤岳鉱泉に到着した。明日が雨模様の予想のせいか、テントの数もまばらで少ない。数日前に電話を入れた時には予約がどんどん増えてきて、有料だが個室を確保するとの話であったがあてが外れたのだろうか。
 部屋はA班、B班各々に一部屋かなり広いところを確保してもらった。早速に風呂に入り、お待ちかねの夕食である。本日はステーキが供された。この豪勢な食事でこの小屋は有名なのだが初めての人はもちろん、皆一様に驚嘆の声をあげていた。
 夕食後、全員で明日の予定の打合せを行い、雨が大降りにならないことを願って“4時起床、5時出発”で20時過ぎに床に就いた。
 
 【8月26日(土)】 雨のち晴れ
〈コースタイム〉
 A班:赤岳鉱泉発5:00→赤岩の頭6:50→7:47硫黄岳山荘9:30
    →(強風のため山荘へ引き返す)→10:00硫黄岳山荘10:40
    →11:30横岳奥ノ院11:45→三叉峰12:00→13:10赤岳
展望荘13:25→14:00赤岳14:15→文三郎尾根分岐14:56
→16:10行者小屋16:25(先発班16:15)→赤岳鉱泉17:10
 B班:赤岳鉱泉発5:00→赤岩の頭6:48→硫黄岳頂上7:20
→7:55硫黄岳山荘9:30→(強風のため山荘へ引き返す)→
10:00硫黄岳山荘10:35→横岳直下11:20→横岳奥ノ院11:30→三叉峰12:00→地蔵の頭13:05→13:10赤岳展望荘13:25
→14:05赤岳14:15→文三郎尾根分岐14:59→阿弥陀分岐15:50→16:10行者小屋16:25→赤岳鉱泉17:10

 予定通り4時起床。合羽の下を履いて薄っすらと明け始めた中、ヘッドランプを点灯して5時に小屋を出発した。赤岩の頭までの途中にて雨が降り出したので合羽の上も着込んでの登攀となった。赤岩の頭を6時50分ごろ、硫黄岳頂上を7時20分ごろ通過。雨風が強く展望の余裕すらない。兎も角打合せ通り硫黄岳山荘に飛び込む。A班が少し早く到着した模様。合羽などを乾燥室にて乾かさせてもらう。しばらくこの山荘にて天候の様子を見ることにし、赤岳鉱泉で作ってもらった朝食を広げて食べる。小屋のテーブル席を使用させてもらうので各自各々、みそ汁、ココア、コーヒーなどを注文する。
 9時半ごろ、雨が少し弱まったように思えたので先に進む決断をする。10分ほど進んだ稜線で強風のため前進できず立ち止まる。両ストックを突き、低姿勢で踏ん張るがジリッと身体が強風で動く。背後から「身体が浮いた!」とO田一さんの声。即、引き返すことにする。一旦、10時過ぎに硫黄岳山荘に戻った。他所の山岳パーティーも進むかどうかで議論をしている。A班リーダーのXさんと協議の上、タイムリミットを11時と決め、待機する。雨はほぼ止んだようだがガスが強風に流されている。谷に立てられた吹き流しが風にもてあそばれている。風が一向に治まりそうにない。10時半過ぎ、雨は上がったので再度、稜線部まで進んでみることにし、強風で抜けられそうになければ今日登って来た道を赤岳鉱泉へと引き返す旨メンバーに了解を得て小屋を後にした。ここからはA班、B班合流して行動を共にすることとした。
 やはり風の通り道なのだろう、稜線部では風に向かって傾斜しないと立っていられない。合羽やザックカバーが風にはためいてバタバタと音を立てる。少しずつ少しずつ寄り添いながら歩を進める。先ほどよりは気持ち、風は弱まったのだろうか、先に進みたい気持ちがそう感じさせるのか。何とか凌いで横岳の最初の岩場へとたどり着いた。ここからは小さなピークをいくつも越えなければならない。11時30分、横岳奥ノ院に到着。三叉峰、12時通過。やっと空が晴れてきた。13時過ぎ、地蔵の頭着。地蔵尾根からも登山者が登ってくる。13時10分、赤岳展望荘に到着。ここで合羽などをようやく脱ぐ。目の前に赤岳の急踏がそそり立っている。ジグザグに登っていく人が見える。足取りはものすごくゆっくりだ。時間的にはもう下りにかかっていなければいけない時間だ。メンバーに問いかけるまでもなく、全員登る意志が強いようだ。ここまで来て、このお天気で諦める決断はできなかった。13時25分、赤岳山頂を目指して一歩一歩歩みだした。下から見た通り、最初の半分はざら石の滑る九十九折れ、残り半分は鎖が張られた岩場だ。金毘羅の練習の成果だ、皆、上手に登っていく。14時過ぎ、赤岳頂上に到達。岩場に立てられた山頂柱で交代々々に写真に納まり、山頂を堪能する。残念ながらゆっくりと感慨に浸っている余裕は我々には与えられていない。14時15分、文三郎尾根を下っていく。岩場を下り、分岐からは階段状の道になる。遙か眼下に行者小屋が森の中に見える。あそこまで戻れば後はしれている。
 途中、地元のガイドさんらしき方が遥か彼方の山々を同定してくださった。正面左の大きな塊が御嶽山、そこから右へ連なる北アルプスの山々、大きなくぼみが大キレットだろうか、その先に先のとがった槍ヶ岳がかすかに見えている。長野県の東の端から西の端を見渡している。その中ほどに中央アルプスが、左手遙かに南アルプスが望める。お天気になって良かった。結果論ではあるが強行突破してよかった。メンバーにも満足してもらえただろうか。
 下りに時間を要するメンバーもおり、事故のないようにゆっくりと下った。赤岳鉱泉で待ってもらっている仲間には心配をかけることになるがここまで来て事故だけは避けたい。充分に休憩も取りつつ、16時10分、行者小屋に到着した。
 Xさんが先発連絡班を出そうとH本、S谷、Y田、S田さんの4名に“行者小屋まで無事に下りてきている”ことを赤岳鉱泉の仲間へと報せてもらいに先行して下ってもらった。10分後、我々も帰還地赤岳鉱泉へと出発した。途中で花折敬さん、M井さんに出迎えてもらい、小屋手前にはY井さんが待っていてくださった。17時、赤岳鉱泉に無事帰着。時刻としては遭難扱い、捜索隊が出てもおかしくない時刻になってしまった。ご心配をかけた皆様、申し訳ありません、ありがとうございました。
 リーダーとして判断が甘いと言われれば弁解の余地もないところだが、一言、いや二言、三言弁解をさせていただけるなら、先ず、天候は回復すると信じていたこと。前日までの予報で9時ごろから午前中雨で、昼から晴れるとの予報。前倒しで6時ごろから降り出したので凡そ3時間も降れば回復してくると願っていた通りに晴れてきたこと(強風だけは想定外でした)。夕方5時を過ぎてもまだ明るく歩行が可能と前日に知り得ていたこと。そして個人的にはこの夏の山行としてやっと思い通りの山行が出来たことなどが掛け合わさって少々無理をしてしまった。何も無かったので良かったものの、”ヒヤリ、ハットだ“と言われれば面目ない次第。
 お風呂にも入ってさっぱりし、18時から北八ヶ岳組、大同心登攀組も加わって総勢24名での大食事会となった。昨日に続いて本日もステーキである。テーブルは3か所に分かれたがあちらこちらで乾杯の祝杯が聞こえる。無事に下山し、美味しいビールにありつけた有り難さを噛みしめながら酔いが回る心地よさを愉しむこととなる。
  
 
 

 
 【8月27日(日)】 晴れ 気温7度
 4時30分起床、5時10分より朝食に並ぶ。5時30分朝食。
 出発準備をして6時50分記念写真を撮影するため小屋前に集合。テラスデッキに整列し阿弥陀ヶ岳をバックに写真に納まる。昨日歩いた硫黄岳から横岳群、その前面に大同心、小同心(?)、主峰赤岳と連なって望める。そこから右へ中岳を経て阿弥陀ヶ岳が控えている。雄大な山群を振り返りながら順次、赤岳鉱泉を出発する。堰堤までの登山道の両側には苔むした自然が、鹿まで見送りに出てきてくれた。7時50分ごろ堰堤に到着。ここからは延々と林道歩きだ。赤岳山荘の駐車場は50台は止まっているだろうか、満車になっていた。林道を下っていく道々、まだ上ってくる関東方面ナンバーの車を避けながらすれ違う。
 9時過ぎに美濃戸口に到着。先行していた登攀組が早くも大祝杯を挙げている。早速に生ビールを買って参加する。売り場で『クラゲ』なる当てが付いてきた。M井氏と売り場で“クラゲって透明の海に浮かんでるやつ?”“違うやんか、これくらいの茶色っぽいビロビロしたやつや”“それは木耳や”と即席の漫才を披露してビールが進む。後は温泉につかって疲れと汚れを洗い流して京都へ帰るだけ。
 メンバーの力量に合わせて決断をする難しさをまじまじと感じた山行ではあったが、多少の無理を押して強行した結果には非常に満足感を得ている。 
 あの快晴の下、赤岳を制覇した喜びは格別なものである。もし硫黄岳山荘で弱気になり引き返していたら参加したメンバーに今頃何を言われていたことやら。何もなかったから、無事に下山できたから良かったとしておこう。
   

  
 
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